ロンドンくまのこ便り

読書と猫と旅行。地球の彷徨い方&キラキラしてないロンドンライフ

ミッション319日目

・そういえば
本当は北朝鮮とか北朝鮮人とか書くのはお国的にはあんまり良くないのだけど、わかりやすいので便宜上そう書くことをご容赦頂けると助かるよ。
ちなみにもちろん、向こうでは「朝鮮」とか「共和国」で通したよ。韓国のかの字も出さなかったし。*1

・テキトーな入国審査
新義州駅に着いて入国審査が始まった。外を見ると大きな金日成金正日の顔。外に見える電車はまるで、紙粘土で作って適当に色を塗ったような質感をしている
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入管職員がやってきてパスポートとビザを回収していく。荷物チェックがあるというのであーやだなー、旦那くんに「ムカついたらポーランド語言え」などと言う…が、入国審査官のおっちゃん

職「にっこにっこにー!(⌒▽⌒)」

…はい?(´・ω・`)

職「はいはい日本人とポーランド人ね!旅行ね!夫婦?ほぉー!あー座って座って!トランクを開けてくれるかなー?(⌒▽⌒)(朝鮮語と英語混じり)」

私「はい。あ、ゲーム機ありますが(英語)」

職「ゲーム、はいはいゲームね、ゲームはいいよ。携帯は?2つね。1人1個?はいはい。カメラある?カメラね」

私「本ありますけど。北京のガイドブックですが…(地球の歩き方北京)」

職「はいはい本見せてね。(北京の文字を指差しながら)북…경(ぷっきょん/北京)!!(⌒▽⌒)」

おじさん漢字読めるんだねー…わー…すごいねー…
流石に本は丹念に調べてたけど、たわいもないガイドブックだからか、返される。そんで

私「そういやタバコありますよ。はいどうぞ(吸わないけど、日本のセブンスターを帰国した時に買って持ってきた)」

職「…!!!!이…일본산(いるぼんさん/日本産)!?」

私「(゜゜)(。。)(゜゜)(。。)ウンウン 」

もうおじさんスーパーニコニコ!!!(⌒▽⌒)(⌒▽⌒)(⌒▽⌒)にっこにっこにー!!!

私「旦那のトランク…」
職「あ、もういい!もういいよ!!!あ、もういいからね、はい次の人ー!(同室のおっちゃん夫婦呼ばれる)」

いいのかよ!!!!!`;:゙;`;・(゚ε゚ )ブッ!*2

ま、怪しいもの何も持ってないし、違反なことする気も全くないけど。
北朝鮮はモバイルバッテリーの持ち込みがしょうもない理由で難しいと聞いてたのに、全く構える必要もなかった…
おっちゃん夫婦が入国審査受けてる間、外で待つことに。北京から一緒で車掌さん達と一緒にお弁当分けてくれた北朝鮮人のおっちゃん(医者のおっちゃんとは別)と少し話す。なんでも食堂車がこの後つくから食べれるよ!という話。医者のおっちゃん達のが終わったので、部屋に戻ると、おっちゃんが「カメラとか携帯はね、厳しくないんだけどこの国はUSBとかメモリーカードが厳しいんだよ」と言っていた。医者のおっちゃんにもセブンスター1箱あげる。「おお…日本のタバコか、日本のタバコはいいな」とのこと

どうも北朝鮮旅行者のブログとか見ると、金正恩政権になってからかな?旅行者の携帯持ち込みとかも段々厳しくなくなったらしい。
(でもこの税関のおっちゃんが特段優しすぎるというか…)

結構な時間入国審査を待ち、別の女性入国審査官がやってきて、医者のおっちゃん夫婦と知り合いか友達らしく人を全く気にせず目の前でだらだらと世間話してる( ̄◇ ̄;)どうも聞き取れる単語を聞くに、アフリカでの話やアフリカの医療、病気の話をしていたようだ
パスポートとビザが帰ってきてようやく電車が動き出した。パスポートを返す時に北朝鮮人には「●●동지(同志)!」と言うところにすっごい北を感じる。〜さん、みたいな意味合いで使ってるのかな。韓国語じゃ使わないよ…。何故か私は「えーと…テディ!」と呼び捨てである
弁当の売り子さん達がやってきたけど「食堂車」と言ったところ「どうぞ、あっちにありますよ」と促されたので行ってみる。弁当くれたおっちゃんとまた会い、「食堂車がついたよ〜!같이 가자!(一緒に行こう)」と言われる。中国で電車が変わって、新義州市で食堂車が接続されたらしい。おっちゃんにせこせこ連れられ、食堂車へ

おー!マイケル・ペイリンが英国のテレビ番組でご飯食べてた食堂車だ!テレビからはひたすらNK-POPが流れてる
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何が食えるのかね?と思ったら、ランチセット一種類しかないらしい。あとビールを頼む。うん、素朴だけど結構美味しい。噂通り、韓国ほど辛くはない
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この麺が結構美味しかった。
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会計すると何故かMeijiのガム貰う。よくよく見ると車内販売員が売っているものには日本製のカップヌードルなどがあった

中国国内は高速鉄道だったけど、北朝鮮に入ってからは鈍足。おそらくレールの具合が全然違うんでしょう。外の風景を見るが、皆が想像する北朝鮮の田舎の風景がどんどん続いていて、そしてまじで田んぼばっかりである。車はほとんど通らない。実りの秋なのかたわわに稲穂が実っていてとても綺麗だが、あまりに植えすぎである。空いたところにはトウモロコシまで植えてるし。よもや噂の主体農法?土壌にはあまり良くない気がするな。農業は手作業で行っているっぽい。川べりには子供達が本当に笑顔で楽しそうに遊んでいたり、列車に手を振っていたり。川で洗濯している人も。明らかに貧乏…ただ、貧乏なのだけどちゃっかりと電動自転車に乗ってる人も携帯電話で話している人も普通にいる。時代だぬー。何故か見張り台にいる軍人の格好をした子供はいつも女の子である。謎。
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面倒くさかったのか疲れてたのか遠慮してたのか、別に写真撮っても問題ないのに、あんまり写真撮ってなかったのをちょっと後悔してたり。旦那くんが道を見て「とても懐かしい、90年代のポーランドを思い出す」と言う。埃っぽく、白っぽい道路。車が通るとわぁっと白い煙が捲き上る。今は普通のアスファルトだが、90年代社会主義あがりのポーランドは同じ道路だった、と言う。

夫「フリントを固めて作るんだ。このタイプの道路は暑さにも寒さにも弱くてすぐ割れる。ポーランドも昔はこうだったなー。農家の建物とかはね、ちょっと感じが違うし…ポーランドは米じゃないけど、なんだか凄く昔のポーランドに似ているよ」

電車が遅いからか線路沿いでも平気で人が歩いてる。母親が生まれた時ぐらいは日本もこんな感じだったのかな、と思った。子供の時、上野駅のプラットホームに新聞紙を引いて、そこに座って電車を待ってたって話をしてたっけ…今では想像もつかないけれど。そういえば、母親は昔、ニュースを見ながら「金正恩はこんなに若いのに大変だねえ…」とかぼやいてたな苦笑
とにかく遠すぎて、旦那くんと寝たり起きたりを繰り返しながら平壌に到着するのを待った。同室の医者のおじさんの奥さんも大変疲れている。おじさんに「何で電車にしたの?飛行機ならすぐじゃないか」と言われたけど、夫が「妻が電車の旅が好きなんです」と答える

本当に時間がかかった。日本の電車はダイヤが正確で早いから、日本人はすぐ電車を使いたがるが、ポーランドでは電車はかなり遅い(北ほどじゃないけどね・ポーランド版新幹線のペンドリーノを除く)のでポーランド人は電車をあまり信用していないきらいもあり、皆、電車よりは高速バスを選ぶ傾向がある…と思う。ペンドリーノもいつか事故るだの散々disられているらしい。電車って、結構高級で維持費がかかる乗り物なのだ

・I've seen it allの世界
Bjokeが出てた映画ダンサー・イン・ザ・ダークの主題歌「I've seen it all」という曲があるのだけど、北朝鮮はこの曲がピッタリだと思う。
鈍い電車のリズム、汽笛の音、時折残酷な歌詞と美しいメロディー。本当に凄く似合うと思う。
多分北朝鮮人はこの曲知らないと思うけどね。知ってるのかな?聞かなかったのでわからない。

・遂に平壌
列車は数十分の遅れで平壌についた。ガラーンとしている広いプラットホーム。たくさんの人が降りていく。私たちはどこ行きゃいいんだ???迎えが来るはずじゃ???と思ってうろうろしてたら、やっと旅行会社の男性ガイドさん2人が来た。1人は40歳ぐらい?もう1人はめちゃくちゃ若い。40歳ぐらいの人は「ガイドさん」で、若い子は「ガイド君」にしとく。ガイドさんは日本語しかわからないが、ガイド君は日本語と英語が話せるようだ、でも彼は基本的には日本語ガイドだという。
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駅を出る際に、あの同室のおっちゃんに肩を叩かれ、「よっ!おっ、これが君たちのアテンドさんかい?」と言われて、おっちゃんは去っていった。ちゃんとお別れ言えなかったわ〜。おっちゃん元気でな〜〜(´・ω・`)
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ガイド2人と運転手さんとご飯を食べる。この後石焼ビビンパも出てお腹いっぱい。寡黙な運転手さんは日本語も英語もわからない。ホテルに着いたら明日からの予定を打ち合わせしたいという。中々せわしない。普段私たちはどこへ行っても1日どこか大きいところを入れて後はダラダラしていることが多いので、こういった日本的せかせかツアーは超久しぶり。体力持つかな

*1:…でも、ガイドさんが一度マジ冗談で「北朝鮮」とか言ってたけど…汗

*2:おかげで、イギリスに帰国後に『北朝鮮の入国審査官を日本のタバコ1箱で買収した女』と旦那くんに周りに言いふらされ続けるのであった…