ロンドンくまのこ便り

読書と猫と旅行。地球の彷徨い方&キラキラしてないロンドンライフ

ミッション331日目

ちょっとポーランドも行ってきたし、はよ北朝鮮日記を終えたい件(また、お土産とかについては書くけど…)。

・今まで一番多く来た日本の旅行者は
ガイド君「今まで一番来てる日本人旅行者は毎年春秋2回ずつ来てマス。24回来てマス。日本語ガイドでその人を知らない人はいませんネー。12回目で全ての観光地を回りきってしまったので、後は知り合いに会いにきてるだけデス」

どんだけ…( ̄◇ ̄;)
ガイドさんの口から「ファンミーティングはご存知ですか?」とか言われたけど、今までの流れで突然ネットの業界用語が出てくると頭打ちそうになる_| ̄|○

・世界で1番ゆるい空港?(暫定)、平壌国際空港
遂に平壌脱出の日。行きは電車で26時間近くかけて行ったけど、帰りは飛行機で北京まで。2015年に新しく建てられた平壌国際空港は、他の国の空港と比較しても遜色ないモダンな空港。サイズは…私の地元の空港よりちょっと良いぐらいだけど。
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出国書類記載はガイドさんが手伝ってくれるが、外貨申告書…

ガイドさん「ああ、適当でいいです!こんなの!!」

適当かい!`;:゙;`;・(゚ε゚ )ブッ!そういや電車で乗り合わせた北朝鮮人の医師のおっちゃんも適当でいい的なこと言ってたな…(´・ω・`)

空港、着いた時は朝早くてこんな感じで人があまりいなかったけど、その後は乗客がぞろぞろとやってきた。
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ガイド君「空港の中見てみましょうかナー♪」
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一応、第2ターミナルが国際線、第1ターミナルが国内線になっているが、国内線ターミナルはゴーストタウン状態…汗
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ってか、この国際線の表示…。オラン空港って国内線だろうが!
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…国内線ターミナル、全然使ってない様子。
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お店もたくさんあるが、誰もこないので店員皆暇そう…(社会主義の光景…!)方杖ついて携帯いじってたりしてるし。そういえば、マイケル・ペイリン北朝鮮旅行番組でも、葛麻新国際空港(元山)だったかな?やっぱり委員長のテコ入れで観光客誘致の為に綺麗な空港作ったけど旅客いなくて暇そ〜なスタッフの映像あったっけ…
この空港、海外育ちの金正恩が作らせたみたいなのだけど…(北京到着後、旦那に旧ターミナルの写真を見せたら大興奮!『懐かしいー!!ポーランドの空港と同じー!!!社会主義ー!!』だと。ちなみに、現在のワルシャワフレデリックショパン空港は当然ながら立派になっており、社会主義時代の旧ターミナルは空港の敷地内でかすかに見れる)
なんだろうな〜。「委員長に他の国に対抗できるモダンな空港作れって言われたけど、飛行機とか乗らんし空港とかなんだかあんまよくわかんないからとりあえず言う通りに頑張って作りました!」感が強い気が…。しかも最初作ったら委員長に「ちがうわー!」言われて再度作り直す羽目になったらしい

戻ると、
ガイドさん「どうでした?見てきました?」
私「到着ロビー以外は見てきましたよ」
ガイドさん「じゃ、到着ロビーは次回、飛行機で来てくださいね、ふふっ。宿題ですよ笑」

ガイドさん「さっ、早くチェックインしましょう!でないと良い席取られちゃいますよ!」

…( ゚д゚)え?(本当に言ってしまった)

ガイドさん「…えっ……普通は違うんですか…?(´⊙ω⊙`)」
私「…そうですね、最近のチェックインはインターネットなんで…。座席も良い席は有料だったりしますし…(´・ω・`)」

ガイドさん「(´⊙ω⊙`)」

チェックインの場所に、発表会のようなドレスを着た娘、手に北朝鮮パスポートを持っているかっちりしたスーツに身を包んだおそらく父親と思わしき男性と、その父親の母親?おばあ様がチェックインカウンターを背に記念写真撮ってた…
そういや、海外旅行なぞ庶民の手にはなかなか届かなかった時代の日本、国際線に乗るのはそれこそ一大イベントで女性は着物を、男性はスーツでとにかくみんな着飾って乗ったとか…

…(´⊙ω⊙`)

チェックイン後、ガイドさん達とはお別れで出国審査へ。…っつか思い切り「diplomatic」って上に書いてるブースに呼ばれたんですけど…。意味わかってる?(汗)気分だけは外交官…。

出国審査は「ロンドンに住んでるのか?」と英語で聞かれただけ。写真チェックとか特に無かった…。セキュリティチェック後、免税エリアへ…って…
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この国、消費税ないだろ〜〜〜!!!!ガイド君に消費税と軽減税率の説明してたら混乱してたんだぞ!!!!!マグネット一個買ったが、価格は特に街中と変わらず…
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Wi-Fi....「Wi-Fiをご利用の方はインターネットコーナーの係員にご連絡ください」とか英語で書いてあった…(現在ホテルによってはWi-Fi有料で使えるところもある/SIMカードは200ユーロ(高すぎ!))
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そしてところどころに北朝鮮味。
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私たちの北京行きはほぼ観光客だったが(日本人もいた…)、ウラジオストック行きはほぼ人民であった。(多分お国の命令で)ロシアへ出稼ぎに行く人たちかな…。ベトナム便とかもあったが、乗る人いるんだろうか、謎。ガイド君に聞いたがベトナム人の観光客は数えるほどらしい
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世界で一番危ないとか言われてるけど、多分世界にはもっとヤバい航空会社あると思う…な高麗航空。奥はハノイ行き、ベネズエラの航空会社(ベネズエラ!?)コンビアサ航空
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免税エリアの上は出国前のお店とかになっており、ふと見上げると旅行ガイドさん達(うちらのガイドさんではない)や見送りの人がいっぱい飛行機を見つめていた。皆、どういう思いで外の世界への入り口を見つめているのだろう…。

・さようなら、朝鮮民主主義人民共和国
そういうわけで、平壌を飛び立った。さようなら、北朝鮮
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これを見ればどれだけ北朝鮮が田んぼや畑がいっぱいか分かると思う
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軽食。まずいと評判だが、普通に美味しく食べられた。あと労働新聞くれた。
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機内写真撮ったら怒られたwww写真消してください、とか言われたけど(消さなかった、ゴメンね。ってか中国人じゃないっつうのに中国語ばかり言われて私にしては珍しく、ちとムカついた。中国語理解できねえわって英語で言い返したけど)
座席に個別のモニターは無く、ひたすら北朝鮮の宣伝流してる。国の宣伝より機内の安全説明のビデオ作ったほうがいいのでは…( ´_ゝ`)

…もう、後は疲れすぎて爆睡。起きたら北京だったわ(ノД`)
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ああー!21世紀に戻ってきたんじゃあ〜。ミッフィーちゃんがお出迎えだ〜!マクドナルドもケンタッキーも無印もあるー。ネットが繋がる!(金盾破ってるけど)
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早速ケンタッキー食べた。

夫「過去に行きたいならタイムマシン作るんじゃなくて北朝鮮に行けば70年代に戻れるよ!」

何故かスマフォや液晶テレビや電動自転車、レクサスのある70年代、北朝鮮はそんな感じ。

ロンドンを離れる韓国人の友達から「テディー!ロンドン離れるよー!1ヶ月ほどヨーロッパを旅行してから韓国に帰国するつもり!いつもありがとう、これからもよろしくね!」的なメッセージが入っていて、南北の差を感じてまた切ない気分に…

…ところで、私が暫定的に「世界で一番ゆるい」って感じで名付けた平壌国際空港なんですけど、驚愕の事実発覚。北京でぶらぶらしてて、「喉乾いたわー」って言ったら旦那くんが「おっ、水飲む?北朝鮮の水だけど」
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私「…おいちょっと待て、これどこから持ってきた?トランクに水入れてたの?」

夫「ううん!全然存在忘れててリュックに入ってた!」

私「セキュリティチェックは…?」

夫「何も言われなかった」

…。

セキュリティチェックってなぁ、ただ金属探知機をかければいいだけじゃねーんだぞー!!!!!!!汗汗汗汗汗
委員長様!もしこれ見てたら指導しといてください!!!!!

セキュリティチェックのとても厳しい中国とは正反対…。北朝鮮って、本当に見た目やニュースとは裏腹になんか、そんな感じの一面がある国。ちょっと前の時代の社会主義は、超のんび〜り、牧歌的なところと残酷さが極端に隣り合わせなのねん
短い滞在で行けるところが多いわけではなかったけど、正直雰囲気としては「のんき」であった。どこもかしこものんびりしていて、(ツアーの行程以外は)せかせかしていない。そりゃそうだ。だって資本主義みたいにそこまで頑張らなくてもいいんだもん。
お義母様が愛した社会主義時代って多分こういうことなんだろうと思った…。

・旅行は楽しかったけど、ちょっとせつない。
北朝鮮に行って良かったか?と聞かれると、万人にはオススメできないけど、私は行って良かったなと思う。お膳立てされている旅行とはいえ、ニュースで知る一面とは全然違った一面が見れたし。北朝鮮にいる人も、普通に恋愛し、子供を育み、友達と遊び、悩みがあり、生活している人たちが沢山いるのだ…って知ってたけどね、そんなこと。そして何より、現在では貴重な社会主義の国を見れた。私は、島嶼部とか「ちょっと閉鎖的なところ」に凄く興味があって…というのも、世界が皆、西欧化を目指していくうちにどの国も段々フラットになってしまっている気がしてきていて。北朝鮮だって全く閉じているわけじゃないし、段々発展しているけれどやっぱりちょっと、その辺の国とは違うな、と思った。でも、ガイド君の若者発言に、なんやかんや新しい価値観も入ってきてるのかな〜…?と思ったけど。

ゲームのFF10でいうと、なんか北朝鮮はスピラみたいで、私はザナルカンドから来たティーダみたいだな…と思った。ってこの例え、ゲームやったことある人しかわからないんだけどさ〜。ただ、FF10はスピラの方が現実だけど…

で、なんだろうなー、ちょっと切なくなってしまった。
社会主義を捨てていく、あるいは社会主義であっても中身は資本主義の国が増える中、果たしてこの体制はいつまで続くんだろうか?少しずつ地味に変わってるとは思うけど…。だから、万が一、それこそ北朝鮮の体制が崩壊でもしたら、それはそれは本当に行って良かったと思うと思う。

人権問題とか政治問題に拉致問題、ミサイルや核問題*1、離散家族にいいんちょ〜は私にそこまでの知識が無いしいくらでも批判できるので置いといて、ただただ、旅行で感じた一般人の話をしたいんだけど。

ポーランド社会主義が終わって、欧州連合加盟までは本当にみんな苦労したし(北朝鮮は仮に崩壊したとしても韓国があるので、そんなに苦労しないと思うけど…)、それに、社会主義が終わったらこのちょっとした素朴さも人と人との距離の近さも、多分みんな損なわれるだろう。
時折、その時代を過ごしたポーランド人の考え方のシンプルさとか強さと堅実さはやっぱり社会主義時代、或いはその後暫くの時代から来ているんだと感じることがある。北朝鮮の人からも似たような強さを感じた
ポーランドだって、社会主義が終わって幸せになった人も、社会主義時代に飢えた人も、義母みたいに未だにその時代を愛している人もいるヽ(;´ω`)ノ残念ながら、誰もが一律に幸せになることはできない。資本主義も完璧じゃないし、北朝鮮で幸せに暮らしてる人も、日本で不幸に暮らしてる人もたくさんいるんだから。ロンドンなんかホームレスだらけだし。

実際に、脱北した人が全員幸せになったかというとそれもまた、人によるみたいで違うらしい。
社会主義に慣れている人が資本主義の世の中を生きるのは、これはこれで結構大変なんだと思う。資本主義は豊かだが、しかし資本主義で豊かに生きるには、社会主義では問題にならなかった部分(私たちにとっては常識でなんてことない部分)が問題になる
彼らも自分の故郷にプライドがあるのだから、私たちが上から目線でただただ可哀想というのはそれも間違ってると思う。日本という国が何人かのサンプルで全部を知ることができないように、北朝鮮だって脱北者平壌の人たちの証言だけで国全部を知ることはできないと思う。皆が知っている通り、圧政と貧乏で苦しんでる人も多いだろうし、北朝鮮の中でもまぁまぁ上手くやってる人もいるでしょう

でもねぇ…

ガイド君「私は、もちろん自分の国が大好きデス。朝鮮の皆は、社会主義を諦めません。でも、そうですネ〜、いつか、朝鮮の海と他の海を比べてみたいデス。パリとか行ってみたいですネー。」
ガイドさん「もし、日本に行くことができたら…?そりゃ、もちろん行ってみたいですよ!!!」

外国の話をしている時の彼らは、例えプロフェッショナルなガイドさん達といえども、キラキラ輝く子供みたいだった。

個人崇拝でも社会主義でも何でもいいけど、私はただ、単純にいつかみんなが朝鮮の海と他の海を比べられる日が来てほしいなと願って、そう考えるとチョソンクラスタみたいには面白がれないかな〜…?とは思う。
大人しくいられない私は社会主義は無理だ(苦笑)
いつか、ガイドさんに日本を見てほしいな。その時、彼がガッカリしないような国でいるかなぁ?ちょっと…最近の状況を見ると、心配だな…苦笑
ガイド君に、エッフェル塔を見せてあげたいな。パリの治安とか汚さに…ガッカリしなきゃいいけれど…苦笑

湿っぽい話、終わり。

我が家は旦那が中国ビザが必要だし、英国住まいのため日本人のオタクみたいにそんなに何回も北朝鮮には行けない。今回は本当にお金がめちゃくちゃかかったし…。もちっと安ければまぁ…ねぇ…?

夫「でも、5年後?10年後?ぐらいにまた、北朝鮮行ってもいいね。この国、変わってるのかなぁ?」

さぁ、どうだろう?

…あ、でも次回があるなら蓋馬高原行きたい(行けるか知らないけど)

*1:なんで北朝鮮はこの期に及んで核を手放さないのかなーと思ってるけど、リビアの二の舞になりたくないのかなーと最近ちょっと思ってる。イランもかな…