ロンドンくまのこ便り

読書と猫と旅行。地球の彷徨い方&キラキラしてないロンドンライフ

ミッション325日目

・あの有名なマスゲームを見る
旅行を申し込んでから数ヶ月後、JSさんから電話かかってきて、

JSさん「大変なんですよ、北朝鮮マスゲームが開かれるんです」
私「へー(金額によっては見てもいいな〜有名だし)。」
JSさん「…それが…観光客全員観ないといけないって言うんですよ。外貨獲得の為だと思いますが…」
私「`;:゙;`;・(゚ε゚ )ブッ! MUST!?」

ちうわけで(強制的に)マスゲーム見ることになった。一度は金正恩が出来に口を出して中止になったけど、無事に再開。一番下の3等席(でも結構良い席)でお一人様100ユーロ。たっ…高杉晋作…。ただ実際見たら100ユーロぐらいの価値は確かにあった。2等席だとお一人様300ユーロ…1等確か500だっけかな?特等800…。旦那くんが「せっかくだからもっと良い席で見ようよ!」とか言い出したけど流石に300は「ムッリー」ってなった。まぁそんなわけで200ユーロ(2人分)払って観覧。
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というわけで綾羅島メーデースタジアムへ。めちゃくちゃでかい。スタジアムとしては世界最大規模らしい。しかし北朝鮮の建物のセンスは「70年代の人たちが考えた未来っぽい建物」な感じ。嫌いじゃない
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パネルの人たちも準備できて、開始前。文字は学校ごとの名前。掛け声に合わせてウォーミングアップしてる
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こっ…これは凄い…!!!一糸乱れぬパネル…
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横が切れちゃってるからわからないけど、「朝鮮人民の慈悲深い父母である偉大なる首領金日成(多分ここ、将軍?)に最大の敬意を申し上げます」かな…
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国旗掲揚と国家の愛国歌(韓国と同じタイトルだけど中身は違う)が流れる。
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でも…
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私「…ガイドさん…もしかして…見飽きてません?マスゲーム…。だって…毎回、観光客に付き添って見なきゃいけないでしょう…?(-_-;;;)」

ガイドさん「そうなんですよね…もう10回目ぐらいなんで…。それでも5回目ぐらいまでは新鮮味があるんですけど、流石にそれを超えると…何が出てくるか全部わかっちゃいますしね…(-_-)」

正直すぎるやろ…。(;゚;益;゚; )

…確かにそれだけ見てたらね…( ̄◇ ̄;)うちらは1回目だから楽しむよ…

そんなわけで横でガイドさんが「花火出る!写真撮って!」「次これ出る!写真撮って!」「喜び組!」「サーカスですよ!」…という掛け声に従わないといけないのであった。って、忙しすぎるわい!!!!!今思えばガイドさんは結構おせっかいである
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しかも、国旗掲揚だけでなく金さんちファミリーが出てくると立ち上がらないといけないのである。うおおおおおおおおおおおお主席がああ!将軍様があ!元帥があああああ!!!!拍手!!!!!(でも1人1回で3回だけ。主席の顔ビデオには撮ったけど写真取り損ねた)
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どうやらそれぞれの時代を表現しているらしいデス。金日成の時代→朝鮮戦争から建国、金正日の時代→苦難の行軍(飢饉の時代…)、金正恩の時代→これからの未来だイェーイ…みたいな感じ。
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「私たちはひとつ」
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軍人!!
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サーカス!!
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花火!!!
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喜び組!!!(まだいたんだ!?)
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横のでっかいモニターで見られるんだけど本当に綺麗。でも金正恩ははっきりとファーストレディーを横に置いてるし、金正日みたいに女性侍らせてる感じはあんまりないよね(父親のそういうところ嫌だったのか、出してないだけなのか)。これは多分舞踊の担当の方なんでしょう
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終わった後の旦那くんはスーパー笑顔で超大興奮していた。めちゃくちゃ嬉しそう…。

夫「すごいすごい!ポーランド人やヨーロッパ人じゃ絶対できないこれ!!!」

私(日本人はできるかも…ってかできると思う…( ´_ゝ`))

…というか、私マスゲームやったことあるんですよ…。学生時代に…。学校の伝統で、体育祭の応援合戦はマスゲームだったの…。このパネルをやるためにわざわざ校庭にスタンドまで組まれていたという。うっむ、流石社会主義でもないのに全体主義の国…?(苦笑)だから知ってるんですよ、これ本当結構大変なの…。なんせパネル、やってる方はよく見えないからね。外から見てもらって「そこ違う!!!」とか指摘しながら練習ですよ。だからマジで凄いと思う…あれで将軍様の顔作るとか恐ろしくてできないぜ…

私「ガイドさんはマスゲーム参加したことあるんですか?」

ガイドさん「(ノシ_-)ナイナイ」

私「(だろうな、この人絶対そういうタイプじゃない)」

ガイド君「私ありますヨー♪大学生時代やりましたネ〜♪兵隊の役やりました!だからあの兵隊さんは本物じゃないですネwwww(*^▽^*)」

ちなみにオーディションがあって誰でも好きにできるわけではないらしい(苦笑)

なんか思い出したから卒業した高校のHP見てみたけど、マスゲームどころかそもそも応援合戦が無くなってたわ。時代かな…(´・ω・`)あれはあれで結構面白かったんだけど。協調性ないので学校行事大っ嫌いだったけど、マスゲームはパネルでラストに一種類だけ絵を出すことになって、夏休みわざわざ学校に行って、皆で色塗った覚えがある

そうそう、JSさんに「800ユーロの席買ったら委員長とのチェキ無いの?」って聞いたら、そんなのは勿論ないけど、マスゲームはたまに委員長見にくるらしいよ。ただ平日は来ないらしい

・情報が制限されているってこういうことなんだ
ガイドさん達は外国人を相手にしているだけあって、社会問題も政治問題も話すし、特に日本語ガイドさんなので日本の事もよく知っており、拉致問題についても知っていた…が、どこかちぐはぐな印象を受ける。というのも、どうも私たちの話がピンときてない時があるのだ。私たちは日本語ガイドさん達にとっては多分珍客(?)のイギリスからのお客さんというのもあって、「???」が余計に飛んでた。多分…

例えば、ガイドさんは「ロンドンには何人ぐらい日本人がいるのですか?」と聞く。何人ぐらいっつってもなぁ…(汗)「数えたことないですが、超たくさんです」と言う。そうすると「皆さん、何の仕事しているのですか?」

私「多いのは銀行とか金融ですかねえ、銀行は特に多いですよ」

ガイドさん「えっ!?銀行!?!?!?!?何で!?!?!?!?」

この後北朝鮮のお金について詳しく書くのだけど、北朝鮮の人は多分銀行とか全然信用してない?し、多分あまり…使わない?と思う。だから、何故ロンドンという遠い異国の地で日本の行員がたくさんいるのか、凄く不思議だったっぽい…。
旦那くんの仕事はとってもわかりやすい駅員だけど、私の仕事は資本主義ドストライクなので、これも多分「????」が飛んでた…。私の仕事は「そんなによくわからないけど儲かるっぽい仕事」だと多分…思ってる(うちは下請けみたいなものだから儲かってないけど)

ガイドさん「南朝鮮のお友達はロンドンで何をしているんですか?仕事ですか?」

私「そうですねー、英語の勉強に来てた子もいますが、ワーキングホリデーとか…」

ガイドさん「…ワーキングホリデー???」

私「協定を結んでる国同士で2年間のビザが取れるんです。仕事をしてもいいし、勉強してもいいし、お金があるなら何もしなくてもオッケーですが…」

ガイドさん「…なっ、何もしなくてもいい!?!?!?!?ふ…複雑ですね…」

南朝鮮(韓国)のお友達の中で、2名ほど中東で客室乗務員やってる(本当)っていう話もなんだか複雑な顔してたし、TWICEの話したら目を丸くしてた…汗
また、宗教の知識は致命的に無いみたい。この後詳しく書くが何故か北朝鮮でインド映画を見る羽目になり、しかも言語がヒンディー語、字幕が朝鮮語&中国語(爆)だから細部がわからなくて、ガイドさんが詳しく解説してくれたんだけど

ガイドさん「主役のお家は儒教の影響で、男尊女卑で…」

私「…儒教!?!?!?!?」

ガイドさん「あ、カトリックですか???」

私「インドはカトリックもいますが、ヒンドゥー教ですかね…」

ガイドさん「そうですか、それで儒教で」(だから、違うって)

北朝鮮で宗教は原則的に自由はない。まだ仏教はマシなようで寺院は(一応)存在しているが、キリスト教などには特に厳しい。観光中に聖書を置いたアメリカ人観光客が拘束されている
所得税については理解していたが、消費税、ましてや軽減税率(日本も始まったけど英国は既にそうだから)の話をした時はガイド君の頭に「????」が飛んでた…(汗)北朝鮮は税金はない。光熱費は発生するらしいけど小額らしい

LGBTについては北朝鮮ではかなり厳しい。ポーランドは宗教(と政治問題)で厳しい*1けど…北朝鮮は国家で厳しい

私「同性同士で手を繋いでる人が多いですね…(これ自体は韓国とか中国と同じだけど日本人は同性同士あまり手を繋がないんですよね、と言おうとした)」

ガイド君「共和国にはゲイはいません♪私たちはガイドだからそーいう人がいること知ってマスが、一般の人たちはそういう言葉も知らないと思いマス♪」

私「お…おう(そういうことじゃないんだけどな)」

外国の話をしている時の彼らは、大人なのになんとな〜く純粋で、子供みたいな感じも受ける。私たちの持っている何気ないものに食いついて見ていたりする時、うーん…という気持ちになった

*1:ポーランドLGBTへの風当たりは日本の差別なんか目ではないほどにキツい。現在のポーランド与党は教会と密接に繋がっている為状況は余計に厳しく、ワルシャワ等の都会はリベラルも多いが、現在80以上の自治体がLGBTを受け入れずLGBT教育やNGOへの資金提供を禁止、プライドパレードをやれば石や卵が投げられる状況…